
この記事のポイント
- 法人向けのサービスは、会社がアカウントを持ち、利用者の追加・停止と設定を管理できるかで選ぶ。
- 入力内容の学習への利用、保存期間、共有と連携の範囲は、それぞれ別の項目として公式の情報と契約で確かめる。
- 候補は同じ業務の例と同じ確認表で比べ、確認した日と資料を記録しておく。
ChatGPT、Claude、Gemini、Microsoft Copilotなどの生成AIには、会社で契約して使う法人向けのプランや製品があります。社員が個人のアカウントで使っている状態から会社の契約に切り替えるとき、どのサービスを選べばよいか迷う会社も多いでしょう。
この記事では法人向けの生成AIサービスを選ぶときに確かめる項目を説明します。答えの要点は三つです。会社がアカウントと設定を管理できるか、入力した内容がどう扱われるか、契約書に何が書いてあるかを確かめます。回答の性能や料金は、この三つを満たす候補の中で比べます。他社の料金は変わることがあるため、この記事では扱いません。
個人向け プランとの 違い
法人向けと個人向けの違いはサービスによって異なります。比べるときに見る観点を表にまとめます。
| 観点 | 個人のアカウントで使う場合 | 会社で契約する場合に確かめること |
|---|---|---|
| アカウントの持ち主 | 社員本人 | 会社が持ち、管理者が追加・停止できるか |
| 入力内容の扱い | 個人の設定に任される | 会社として学習への利用や保存を決められるか |
| 利用状況 | 会社から見えない | 管理者が利用状況を確認できるか |
| 退職や異動 | 履歴が本人の手元に残る | 停止した後の履歴やファイルを会社が扱えるか |
| 契約と支払い | 本人と提供元の契約 | 会社と提供元の契約になっているか |
社員が個人のアカウントで仕事の情報を扱うと、会社は入力された内容も設定も把握できません。この状態の問題と移行の手順は、シャドーAIとは?で説明しています。
管理者が 使う 機能を 確かめる
法人向けのサービスを選ぶときは、管理者が日々の運用で使う機能を先に確かめます。社員数が少ない会社でも、入社・退職のたびにアカウントを手作業で直す運用は続きにくくなります。
確かめたい機能の一つは、社内で使っているアカウントでログインするシングルサインオンです。Microsoft 365やGoogle Workspaceのアカウントでログインできれば、退職時にそのアカウントを止めると生成AIも使えなくなります。利用者の追加と停止を、社内のアカウントの管理と連動できるかも確かめます。
機能ごとに有効と無効を切り替えられるかも大切です。ファイルの読み込み、Web検索、外部サービスとの連携、会話の共有リンクなどは、最初は使う範囲を絞りたい機能です。管理画面で、どの機能を誰に許可するかを設定できるかを見ます。
利用状況と操作の記録も確かめます。誰がどのくらい使っているか、設定を誰が変えたかを管理者が確認できると、定着の様子も問題の調査も追いやすくなります。記録に入力本文まで残るのか、保存期間はどうかも、あわせて確かめてください。
入力 内容の 扱いと 保存の 設定
入力した内容の扱いは次の項目に分けて確かめます。一つにまとめて「安全」と判断すると、どこを確かめていないかが分からなくなります。
- 入力と出力がAIモデルの学習に使われるか。使われない場合、それが初期の設定か、管理者が変える設定か
- 会話の履歴がどこに、どのくらいの期間保存されるか。利用者と管理者が削除できるか
- 提供元が不正利用の確認などのために内容を見ることがあるか
- データがどの国や地域で処理・保存されるか
- 共有リンクや外部連携で、社外の人やサービスに内容が渡る経路があるか
提供元の多くは、法人向けのデータの扱いを公式のページで説明しています。たとえばMicrosoftはMicrosoft Copilotのデータ、プライバシー、セキュリティを、GoogleはGoogle Workspaceの生成AIに関するプライバシーハブを公開しています。ほかのサービスも契約するプランの説明を公式の情報で確認してください。
社内のどの情報を入力してよいかは、サービスの条件とは別に会社で決めます。分け方は社内の情報をAIに入力する前に確認することで紹介しています。
契約で 確かめる 項目
申し込みの画面だけでは、データの扱いや解約の条件が分からないことがあります。契約の前に、次の書類と項目を確かめます。
| 確かめる項目 | 見る書類 | 確かめる内容 |
|---|---|---|
| サービスの範囲 | 利用規約、サービスの説明 | 契約するプランで使える機能 |
| データの取り扱い | データ処理に関する契約や付属書 | 学習への利用、保存、再委託先 |
| 契約の単位 | 申込書、見積書 | 利用者の数え方、契約期間、更新の条件 |
| 解約したとき | 利用規約 | 履歴やファイルの取り出しと削除 |
| 条件の変更 | 利用規約 | 機能や条件が変わるときの通知の方法 |
| 問い合わせ | サポートの説明 | 障害や不正利用のときの連絡先 |
契約の相手が海外の会社の場合は、どの国の法律に従うか、紛争のときにどこの裁判所で扱うかも書かれています。法的な判断が必要な点は、弁護士などの専門家に確認してください。
候補を 同じ 条件で 比べる
ここからは想定例です。総務と情報システムを兼ねる担当者が、二つのサービスを候補に比べる場面を考えます。担当者は上の表を一枚の確認表にして、候補ごとに確認した内容、確認した日、見た資料へのリンクを書き込みます。

次に、試用のアカウントで同じ業務の例を試します。社内のお知らせの下書き、会議メモの要約、公開済みの商品資料からの質問への回答の三つです。どの例も社外秘の情報を含まない資料で作ります。担当者は回答の内容に加えて、管理画面で利用者を停止したときにすぐ使えなくなるか、共有リンクを無効にできるかを確かめます。
比べた結果、管理機能の条件を満たさない候補は、回答の性能が良くても外します。条件を満たす候補の中で、業務の例の結果と費用の見込みを比べて決めます。AIモデルの比べ方は業務で使うAIモデルの選び方で詳しく説明しています。
一つの サービスに 決めない 構成
一つのサービスを全社で契約する方法のほかに、社内のAIの作業画面を用意し、用途に合わせて複数のAIモデルを使い分ける構成もあります。この構成では管理機能やデータの扱いを会社の仕組みとしてそろえ、AIモデルは後から切り替えられます。
どちらが合うかは、使う業務、既に使っている業務ツール、管理を担当できる人の数で変わります。社員全員が使う作業画面の考え方は、AIワークスペースとは?で紹介しています。
よくある 質問
社員が 数人の 会社でも 法人 向けの プランが 必要ですか?
人数が少なくても、仕事の情報を入力するなら、会社がアカウントと設定を管理できる形をおすすめします。退職した人のアカウントや履歴を会社が扱えないと、情報の管理が難しくなるためです。
Microsoft 365や Google Workspaceを 使っていれば、その 生成 AIを 選ぶべきですか?
普段の画面から使える点は利点です。ただし、使える機能やデータの扱いは契約によって異なるため、上の確認表で同じように確かめてから決めてください。
まとめ
法人向けの生成AIサービスは、会社がアカウントと設定を管理できるか、入力した内容がどう扱われるか、契約書に何が書いてあるかを確かめて選びます。入力内容の学習への利用、保存、共有と連携は別々の項目として確かめ、確認した日と資料を記録します。条件を満たす候補の中で、同じ業務の例を使って回答と費用を比べてください。
e-GrantsのAIを使える社内インフラの構築では、社員がブラウザから使えるAIワークスペースと、安全に運用するためのインフラを構築します。複数のAIモデルから用途ごとに選べる構成を基本にしており、人・チーム・用途ごとの利用額の確認や、予算と上限の設定もできます。特定のAIサービスと契約するかどうかも含めて、御社の環境に合わせてご相談いただけます。
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