お問い合わせ
AI開発

注文書・請求書をAIで読み取ってシステムに入力する方法|紙・PDF・FAXの帳票

紙・PDF・FAXの注文書や請求書をAIで読み取り、業務システムに登録する方法を解説。読み取り・照合・登録の流れ、読み違いやすい項目、人が確かめる画面の作り方、試験導入の評価表を紹介します。

この記事のポイント

  • AIの読み取り結果は、取引先や商品のマスタと照合してから登録する流れにする。
  • 日付、品番、数量の単位、金額は読み違いやすいため、照合と人の確認の対象にする。
  • 試験導入では過去の帳票と正しい入力値を組にし、項目ごとの一致を記録して判断する。

取引先から届く注文書や請求書を、担当者が見ながら販売管理や会計のシステムに入力している会社は少なくありません。郵送の紙、メールに添付されたPDF、FAXが混ざり、様式も取引先ごとに違うため、入力の手間と転記の誤りが減りにくい作業です。

この記事では、生成AIを使って帳票の内容を読み取り、システムへ登録するまでの流れを説明します。AIの読み取りには読み違いが起こるため、マスタとの照合と人の確認を組み合わせて設計します。読み違いやすい項目、確認画面の作り方、試験導入で使う評価表もあわせて紹介します。

読み取りから登録までの流れ

帳票の入力をAIで支援する仕組みは、五つの工程に分けて考えます。

紙・FAX・メールで届いた帳票を取り込み、AIが項目を読み取り、マスタと照合して、担当者が確認してから業務システムに登録する五つの工程を示す図。
読み取った結果はマスタとの照合と人の確認を通してから登録します。AI生成の概念図
工程 処理する仕組み 人の作業
取り込み 届いたファイルを決まった場所に集める 紙の帳票をスキャンする
読み取り AIが取引先名、日付、品番、数量などを取り出す なし
照合 プログラムがマスタや発注データと突き合わせる なし
確認 原本と読み取り結果を並べて表示する 不一致や不明な項目を直す
登録 確認済みのデータを業務システムに登録する 登録の結果を確かめる

読み取りには、文字を認識するOCRと、画像の内容を理解できる生成AIのどちらか、または両方を使います。様式が決まった帳票は従来のOCRでも読み取れます。取引先ごとに様式が違う帳票では、項目の位置を一つずつ指定しなくても内容を読み取れる生成AIが向いています。どちらを使う場合も、読み取った結果はそのまま登録せず、照合と確認を通します。

紙・PDF・FAXの取り込み方

帳票の届き方によって、取り込みで気をつける点が違います。

紙の帳票は、複合機やスキャナで読み取ってPDFや画像にします。傾き、影、ホチキスの跡、折り目があると読み取りの誤りが増えるため、スキャンの設定と置き方を手順書にしておきます。

PDFには、文字の情報を持つものと、画像だけのものがあります。取引先のシステムから出力されたPDFは文字の情報を持つことが多く、その場合は文字をそのまま取り出してからAIに項目を整理させると、読み違いを減らせます。

FAXは、複合機の受信データをPDFとして共有フォルダやメールに送る設定にすると、紙に印刷せずに取り込めます。FAXの画像は粗く、細い文字や手書きの書き込みが読みにくくなるため、確認の対象を広めに取ります。

取り込んだファイルには、受け取った日時と経路を記録します。同じ注文書がFAXとメールの両方で届くことがあるため、この記録は二重登録の確認にも使います。

読み違いやすい項目

AIの読み取りで誤りが起きやすい項目と、確かめ方をまとめます。

項目 起きやすい読み違い 確かめ方
日付 和暦と西暦、発行日と納期の取り違え 項目名と並べて表示し、受付日との前後を見る
品番 0とO、1とI、ハイフンの有無 商品マスタに存在するかを照合する
数量と単位 個とケース、本と箱の取り違え 商品マスタの単位と比べる
単価・金額 桁区切りの読み落とし、税込と税抜の混同 数量と単価から金額を計算して比べる
取引先名 略称や旧社名 取引先マスタの別名と照合する
手書きの訂正 二重線で消した数字を読む 訂正がある帳票は必ず人が確認する

金額の計算や合計の確認は、AIに任せずプログラムで行います。生成AIは計算を誤ることがあるため、AIには項目の読み取りだけを担当させ、計算と照合は決まった処理で行う分担にします。数字をAIに作らせない考え方は、AIの誤回答(ハルシネーション)に備える設計でも説明しています。

人が確かめる画面

確認画面は、担当者が原本と読み取り結果を短い時間で見比べられるように作ります。

確認画面の左に帳票の原本、右に読み取った項目を並べ、照合で一致しなかった項目を先頭に強調して原本の該当箇所と結んでいる様子を示す図。
原本と読み取り結果を並べ、不一致の項目から確かめられるようにします。AI生成の概念図

画面の左に原本の画像、右に読み取った項目を並べます。項目を選ぶと原本の該当する位置が強調される形にすると、目で探す手間が減ります。照合で不一致になった項目、AIが読み取れなかった項目、手書きの訂正がある項目は、色を変えて先頭に表示します。

担当者が直した内容は、修正前の値、修正後の値、直した人を記録します。この記録は、どの項目で読み違いが多いかを調べる材料になります。確認が済んだ帳票だけが登録に進み、登録後は業務システムの伝票番号を帳票の記録に結びつけます。

全項目を毎回人が見る運用にすると、入力の手間が確認の手間に置き換わるだけになります。最終的には、照合で一致した項目の確認を省き、不一致や不明の項目に絞って見る運用を目指します。ただし試験導入の間は全項目を確認し、その結果から確認を省いてよい項目を判断します。

想定例 受注担当がFAXの注文書を登録する

ここからは想定例です。部品を卸している会社の受注担当者が、取引先からFAXで届く注文書を販売管理システムに登録する場面を考えます。

担当者は、複合機で受信した注文書のPDFが共有フォルダの「受信」に保存されていることを確かめます。仕組みは新しいファイルを見つけると、次のような指示と画像をAIに渡します。

添付の注文書から次の項目を読み取り、JSON形式で返してください。
取引先名、注文日、希望納期、注文番号、明細(品番、品名、数量、単位、単価、金額)、合計金額、備考
読み取れない項目や判断できない項目は null とし、推測で埋めないでください。
手書きの書き込みや訂正がある項目は、項目名を handwritten に列挙してください。

返ってきた結果を、プログラムが取引先マスタと商品マスタに照合します。ある明細の品番が商品マスタになかったため、その行が不一致として確認画面の先頭に出ます。担当者は原本を拡大し、品番の数字の「0」が英字の「O」と読まれていたことを確かめて直します。合計金額がプログラムで計算した値と一致したことを確認し、登録します。

試験導入の評価表

本番で使う前に、過去の帳票で試験をします。過去に登録した帳票と、システムに入力済みの正しい値を組にして用意すると、読み取り結果と正しい値を項目ごとに比べられます。帳票は、取引先、届き方、手書きの有無が偏らないように選びます。

評価項目 見る内容 記録の仕方
項目ごとの一致 読み取った値が正しい値と同じか 項目別・取引先別に一致と不一致を記録
照合での検出 誤った読み取りが照合で不一致になったか 照合で見つからなかった誤りを一覧にする
確認の手間 確認画面で直した項目とかかった時間 現在の手入力の時間と並べて記録
読み取れない帳票 画像が粗い、様式が特殊などで止まった帳票 帳票の種類と理由を記録

評価で重く見るのは、照合でも確認でも見つからずに登録まで進んでしまう誤りです。この種類の誤りが見つかった項目は、照合の条件を追加するか、確認を省かない項目にします。試験導入の進め方はAI導入は小さく試すも参考にしてください。

本番の運用で決めておくこと

本番の運用では、新しい取引先の帳票や様式の変更に対応する手順を決めておきます。初めて届く様式は、しばらく全項目を確認の対象にし、読み違いの傾向を確かめます。

同じ注文書が二度登録されないように、取引先と注文番号の組み合わせで重複を確認する処理も入れます。帳票の原本、AIの読み取り結果、確認での修正の記録は、社内の保存のルールに沿って残します。請求書のように保存方法が法令で定められている書類は、電子帳簿保存法などの要件を国税庁の公式の情報で確認し、必要に応じて税理士に相談してください。

まとめ

注文書や請求書のAIによる読み取りは、取り込み、読み取り、照合、確認、登録の流れで設計します。日付、品番、数量の単位、金額は読み違いやすいため、マスタとの照合とプログラムによる計算で確かめます。確認画面は原本と結果を並べて不一致の項目から見られるようにし、過去の帳票で項目ごとの一致を記録してから本番に進めます。

e-GrantsのAIアプリケーション受託開発では、使う人と業務の流れを整理し、必要な画面・機能・データの扱いを設計します。帳票の読み取りと確認画面のように、御社の帳票と業務の流れに合わせた仕組みについても、課題の整理から設計・開発、公開後の保守運用までご相談いただけます。一宮市・名古屋市・愛知県を中心に、オンラインで全国からご相談いただけます。

益田 尚紀

この記事を書いた人

益田 尚紀株式会社e-Grants 代表取締役

株式会社e-Grants代表取締役。愛知県一宮市を拠点に、企業のAI導入支援・AI受託開発・社内AI基盤の構築と、工務店のWeb集客支援に取り組んでいます。現場で使えるAI活用とデジタル集客を、むずかしい言葉をほどいて発信します。

お問い合わせ

AIの開発・導入のご相談から、工務店・住宅会社向け集客支援のお見積もりまで承ります。何から始めるか決まっていなくても大丈夫です。