お問い合わせ
AI開発

電話の問い合わせをAIで要約・記録する方法|録音から対応履歴までの流れ

電話の問い合わせをAIで要約し、対応履歴に残す方法を解説。録音の同意の取り方、文字起こしと要約の分担、履歴に残す項目、要約の指示文の例、修理受付の想定例、誤った要約の直し方を紹介します。

この記事のポイント

  • 録音は通話の最初に目的を伝えてから行い、断られた場合の手順も決めておく。
  • 文字起こしと要約を別の工程にし、日付・金額・約束したことは発言と照らして確かめる。
  • 誤った要約は原因を文字起こしと要約に分けて調べ、用語の登録や指示文の見直しにつなげる。

電話の問い合わせは、通話が終わったあとに担当者が内容を思い出して記録を書くため、記録が短くなったり、担当者によって書き方がばらついたりします。後から別の担当者が対応するときに、前回何を約束したのかが分からないこともあります。

この記事では、通話を録音し、AIで文字起こしと要約を行って、対応履歴に残すまでの流れを説明します。仕組みを作るときは、録音の同意、文字起こしと要約の分担、担当者が要約を確かめる手順の三つを先に決めます。履歴に残す項目、要約の指示文の例、誤った要約の直し方も紹介します。

録音から対応履歴までの流れ

通話の記録をAIで支援する仕組みは、次の工程に分けます。

電話の通話を録音し、音声認識で文字起こしをして、AIが要約の下書きを作り、担当者が確認してから対応履歴に保存する流れを示す図。
要約は担当者が確認してから対応履歴に保存します。AI生成の概念図
工程 処理する仕組み 出力
録音 電話システムが通話を録音する 音声ファイル
文字起こし 音声認識が発言を文字にする 話者ごとの発言の文字
要約 生成AIが決まった項目に沿ってまとめる 要件・回答・次の対応の下書き
確認 担当者が要約を読み、必要なら直す 確認済みの要約
登録 顧客管理や対応履歴のシステムに保存する 対応履歴

録音から要約までは通話の後に自動で進め、担当者は確認と登録に時間を使う形にします。要約を担当者の確認なしに履歴へ登録すると、誤った内容が残り、次の担当者がその内容をもとに対応してしまいます。

録音の同意を取る

録音を始める前に、通話の相手に録音することと目的を伝えます。電話を受ける場合は、つながった直後に自動の案内を流す方法があります。案内の文例を示します。

お電話ありがとうございます。○○株式会社です。
対応の品質向上と内容の確認のため、この通話を録音させていただきます。

通話の内容には、氏名、住所、電話番号、契約の内容などの個人情報が含まれます。録音や文字起こしのデータの利用目的をプライバシーポリシーなどで示し、保存期間と閲覧できる担当者を決めます。AIのサービスに音声や文字を送る場合は、送り先のサービスでデータがどう扱われるかを契約や規約で確認します。

個人情報の扱いの考え方は個人情報保護委員会の公式サイトで確認できます。社内の情報の分け方は社内の情報をAIに入力する前に確認することで説明しています。法的な判断が必要な点は、弁護士などの専門家に確認してください。

録音を断られた場合の手順も決めておきます。録音を止められる電話システムであれば担当者が録音を止め、通話の後に担当者が手で記録を書きます。

文字起こしと要約を分ける

文字起こしと要約は、別の工程として扱います。文字起こしは音声を文字にする処理で、要約はその文字から必要な情報を取り出す処理です。工程を分けておくと、誤りが見つかったときに、どちらの工程で起きたかを調べられます。

文字起こしでは、社名、商品名、地名などの固有名詞が別の言葉に変わることがあります。音声認識のサービスによっては、よく使う用語を登録できる機能があるため、自社の商品名や業界の用語を登録します。話者を区別できる機能があれば、お客様と担当者の発言を分けて残します。

要約では、元の発言にないことをAIが補う誤りに注意します。お客様が「来週あたり」と言ったものを、要約が具体的な日付にしてしまうような誤りです。日付、金額、数量、電話番号、約束したことは、要約の中で文字起こしの該当箇所を示させ、担当者が照らし合わせられるようにします。

履歴に残す項目

対応履歴の項目を先に決めると、要約の書き方がそろい、後から検索しやすくなります。

項目 内容 入れる人・仕組み
日時・担当者 通話の日時と対応した担当者 電話システム
お客様 顧客番号または氏名 担当者が確認して選ぶ
問い合わせの種類 修理、注文、請求など社内の分類 AIが候補を出し担当者が確定
要件 お客様が求めていること AIの要約を担当者が確認
回答した内容 担当者が伝えたこと AIの要約を担当者が確認
約束したこと 折り返し、訪問、送付などと期限 AIの要約を担当者が確認
次の対応 誰がいつ何をするか 担当者
元の記録 録音と文字起こしへのリンク 仕組みが自動で付ける

お客様の特定はAIに任せず、担当者が行います。名前が似た別のお客様に履歴を付けると、別の人の情報が混ざり、個人情報の誤った取り扱いにもつながります。

要約の指示文の例

要約を指示する文は、履歴の項目に合わせて書きます。

次の通話の文字起こしを、対応履歴の下書きにまとめてください。
項目:問い合わせの種類/要件/回答した内容/約束したこと(期限を含む)/次の対応
ルール
・文字起こしにない内容は書かない。分からない項目は「不明」と書く
・日付、金額、数量、約束したことは発言のとおりに書き、該当する発言の時刻を添える
・お客様の発言と担当者の発言を混同しない
・問い合わせの種類は「修理」「注文」「請求」「その他」から選ぶ

問い合わせへの回答そのものをAIに作らせる場合とは違い、この使い方ではAIは通話の内容を整理するだけです。回答の作成まで扱う仕組みは問い合わせ対応のAIチャットボットを作る前に決めておきたい6つのことで説明しています。

想定例 修理受付の担当者が通話を記録する

ここからは想定例です。住宅設備の修理を受け付ける担当者が、お客様からの電話を受けたあとに対応履歴を残す場面を考えます。

通話が終わると、仕組みが録音を文字起こしし、要約の下書きを担当者の画面に出します。下書きには「種類 修理」「要件 浴室の給湯器からお湯が出ない」「回答した内容 訪問日は折り返し連絡すると伝えた」「約束したこと 本日中に折り返しの電話」と表示され、それぞれに発言の時刻が付いています。

担当者は「約束したこと」の時刻を選んで該当する発言を聞き直し、実際には「明日の午前中に折り返す」と伝えていたことに気づいて直します。お客様は、電話番号から顧客管理の候補を出し、住所を確かめて選びます。最後に「次の対応」に訪問担当者への引き継ぎを書いて登録します。

誤った要約の直し方

担当者が要約を直したときは、修正前と修正後の内容を記録します。記録がたまったら、誤りの原因を文字起こしと要約に分けて調べます。

誤った要約の原因を文字起こしと要約に分け、文字起こしの誤りは用語の登録で、要約の誤りは指示文の見直しで直し、過去の通話で確かめる流れを示す図。
誤りの原因を工程ごとに分けて、用語の登録か指示文の見直しで直します。AI生成の概念図

文字起こしの段階で誤っていた場合は、商品名や地名が別の言葉になっていないか、話者の区別が入れ替わっていないかを見ます。対策として、用語の登録を追加する、通話の音質を改善する、といった方法をとります。

文字起こしは正しいのに要約が誤っていた場合は、指示文を見直します。発言にない日付を補う、担当者の発言をお客様の要望として書く、といった誤りが続くなら、その誤りを防ぐルールを指示文に加えます。指示文を変えたら、過去の通話で誤りが直ったかを確かめてから本番に切り替えます。

記録を見ても原因が分からない通話は、録音を聞き直して確かめます。AIの誤りへの備え方は、AIの誤回答(ハルシネーション)に備える設計でも詳しく説明しています。

まとめ

電話の問い合わせをAIで記録する仕組みは、録音、文字起こし、要約、担当者の確認、登録の流れで作ります。録音は目的を伝えてから行い、文字起こしと要約を分けておくと誤りの原因を調べやすくなります。日付や約束したことは発言と照らし合わせて確かめ、直した記録を用語の登録や指示文の見直しに使ってください。

e-GrantsのAIアプリケーション受託開発では、使う人と業務の流れを整理し、必要な画面・機能・データの扱いを設計します。通話の要約を担当者が確認して履歴に残す仕組みのように、人の確認を組み込んだAIアプリも、御社の電話の運用や顧客管理に合わせてご相談いただけます。課題の整理から設計・開発、公開後の保守運用まで担当します。

益田 尚紀

この記事を書いた人

益田 尚紀株式会社e-Grants 代表取締役

株式会社e-Grants代表取締役。愛知県一宮市を拠点に、企業のAI導入支援・AI受託開発・社内AI基盤の構築と、工務店のWeb集客支援に取り組んでいます。現場で使えるAI活用とデジタル集客を、むずかしい言葉をほどいて発信します。

お問い合わせ

AIの開発・導入のご相談から、工務店・住宅会社向け集客支援のお見積もりまで承ります。何から始めるか決まっていなくても大丈夫です。